研究開発コラム
機能性食品原料

乳酸菌がもたらす睡眠改善効果とは?疲労改善にも効く理由

乳酸菌が睡眠改善や疲労回復に役立つと聞いたことはあるけれど、実際にどのように効果があるのか、どんなメカニズムで作用するのか気になっている方も多いのではないでしょうか。昨今「睡眠の質を改善する」乳酸菌は、急速にその市場を拡大し続けており、乳酸菌の新しい機能性として研究開発が盛んに行われています。また睡眠の質を改善するだけでなく、付随して疲労回復にも役立つ事も知られるようになりつつあります。この記事では、乳酸菌がどのようにして睡眠の質を向上させ、疲労改善に役立つのか、そのメカニズムと実際の効果について詳しく解説します。

参考)
カタリナ マーケティング ジャパン株式会社2024年11月29日プレスリリース「前年比143.5%成長!「睡眠改善」食品が絶好調!乳酸菌飲料が市場を牽引、さまざまな類似カテゴリにも影響購買データが語る消費者ニーズは「育児疲れ」への対応策!?」

※研究開発コラムは微生物を活用した研究開発において参考になるトピックを集めたもので、全てのテーマについて当社が研究開発を実施しているわけではございません。

乳酸菌と睡眠障害

乳酸菌の摂取は、腸内環境を改善するだけでなく、神経系や内分泌系のバランスを整えることで睡眠障害の改善にも寄与します。特に、ストレスや不規則な生活が引き金となる睡眠障害には、乳酸菌の摂取が効果的であることが多くの研究で示されています。製品としては、乳酸菌が豊富なヨーグルトやサプリメントを利用することで、日常的にこれらの効果を得ることが可能です。

乳酸菌が睡眠の質を向上させるメカニズム

いくつかの乳酸菌は、腸内環境を整え、睡眠の質を改善する事が報告されています。睡眠の質を低下させる原因の一つに、ストレスがあります。身体的・精神的ストレス負荷により、HPA軸と呼ばれるストレスの生体防御応答経路が活性化され、交感神経の過剰な活動による自律神経のバランスの乱れが生じます。これにより睡眠の質低下が起こりますが、乳酸菌は副交感神経の働きを優位にすることで、ストレスによる交感神経の活動亢進を抑制し、睡眠の質を改善するメカニズムが報告されています。一部では善玉菌が増えることで腸内のセロトニンが増加し、迷走神経を介して脳内のセロトニン分泌を促進する事から、脳内のセロトニンが前駆体として入眠ホルモンであるメラトニンに変わり、良質な睡眠をもたらすというメカニズムが語られていますが、実証されていません。セロトニンと異なり中枢から分泌されるメラトニンは体内時計により分泌が制御されるので、セロトニンが脳内で増えてもそれが中枢でのメラトニン産生増加にすぐ結びつける事はできません。メラトニンは主に脳中枢の松果体と呼ばれる場所で産生され、これが血中に運ばれ入眠促進などの作用をもたらします。一方近年大腸などにもメラトニン産生細胞がある事が報告され、大腸のメラトニン産生は腸内細菌の影響により制御される事が分かりましたが、血清のメラトニン濃度と大腸のメラトニン濃度には相関関係がない事も報告されています。これらの事から腸内細菌によりメラトニンを介して入眠に影響を与える可能性は低いと考えられます。一方で腸と脳は、情報を相互に伝達し合う非常に密接な関係にあります。この腸脳相関は、腸内環境が改善されることでストレスの緩和につながり、その結果として睡眠の質が向上することを示しています。乳酸菌の摂取がコルチゾールなどのストレスホルモンの産生を抑えることで、睡眠の質が高まることが研究によって明らかになっています。

参考:
アサヒ飲料株式会社「ガセリ菌CP2305株の研究報告:睡眠の質が高まる仕組み」
Bingnan Liu et al., Gut microbiota regulates host melatonin production through epithelial cell MyD88. Gut Microbes. 2024 Feb 14;16(1)

乳酸菌が腸内環境を整える仕組み

乳酸菌は腸内で善玉菌の増加を促進し、悪玉菌の繁殖を抑えることで腸内環境を改善します。このプロセスは、乳酸菌自身が腸内で増殖し、乳酸を産生することによって実現されます。乳酸は腸内を酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑えることで、腸の健康を守る重要な役割を果たします。腸内環境が改善されると、免疫力が向上するだけでなく、体全体の健康が促進されることが研究から明らかになっています。善玉菌が優位に陣取る腸内では、健康な腸内細菌叢が形成され、結果として便通の改善やコレステロールの低下に寄与します。例えば、LB81乳酸菌は、腸内細菌のバランスを整えることで、悪玉菌を減少させることが示されており、健康な消化器系をサポートします。これにより、全体的な健康状態の向上が期待できるのです。ヨーグルトやその他の発酵食品に豊富に含まれる乳酸菌は、腸内の善玉菌を増加させる重要な役割を果たします。特に、ガセリ菌CP2305株は心理的ストレスの軽減に寄与し、睡眠の質を向上させることが研究から示されています。これらの乳酸菌を日常的に摂取することで、腸の健康を維持し、広範な健康効果を享受することが可能になります。

参考:
株式会社明治ヨーグルトライブラリー「LB81乳酸菌の新たな可能性」
アサヒ飲料株式会社「ガセリ菌CP2305株の研究報告:睡眠の質が高まる仕組み」

乳酸菌と心理的ストレス・睡眠の関係

ストレスは腸内環境に悪影響を与え、腸内細菌叢のバランスを乱す要因となります。この乱れが続くと、睡眠の質が顕著に低下することが示されています。腸内細菌の環境が善玉菌を多く含むことで、質の高い眠りに繋がることが研究で確認されています。特に、ストレス状態にある人々において、この腸内細菌叢のバランスの維持が睡眠改善の鍵であると言えるでしょう。

乳酸菌は腸内の善玉菌を増やし、ストレスによって引き起こされる腸内細菌叢の乱れを整える効果があります。このプロセスにより、自律神経のバランスが整い、結果として睡眠の質が向上します。乳酸菌の摂取は腸内を酸性に保つことで悪玉菌の抑制に繋がり、腸内環境が整うことで脳のストレス応答が和らげられるのです。これにより、リラックスした状態を維持する助けとなります。

脳と腸の密接な関係、すなわち脳腸相関はストレス管理において重要な役割を果たします。乳酸菌はこの相関を通じて脳のストレス反応を緩和し、心身のリラクゼーションを促進します。例えば、乳酸菌シロタ株を摂取することで、脳波において深い睡眠に関連するデルタ波の活性化が観察され、睡眠の安定性が高まることが確かめられています。この科学的根拠は、腸内環境と睡眠の質の関連性を立証する重要なデータと言えるでしょう。

特定の乳酸菌は、精神的ストレスがかかる際に特に効果的な鎮静作用を持つことが知られています。例えば、ガセリ菌CP2305株は心理的ストレスを軽減し、睡眠の質を向上させることが報告されています。また、乳酸菌飲料を継続的に摂取することで得られる効果は、ストレスによる睡眠障害の改善に寄与し、さらなる健康促進に繋がると予測されています。このような乳酸菌の商品は、積極的な健康維持のアプローチとして利用可能です。

参考)
ヤクルト中央研究所 健康コラム 脳腸相関⑤:乳酸菌が脳腸相関に及ぼす影響(後編)
アサヒ飲料株式会社「ガセリ菌CP2305株の研究報告:睡眠の質が高まる仕組み」

睡眠を促進する乳酸菌の効果的な種類

L.カゼイ・シロタ株の摂取に関連した研究では、ストレスを受けた医学部生において、その摂取が睡眠質の改善に寄与したことが確認されています。具体的には、この株を摂取した群は、プラセボ群と比較して深い睡眠を示すデルタパワーが増加し、熟眠度が顕著に向上しました。このようなデータは、乳酸菌が脳機能に与える影響についての理解を深める重要な一例です。

腸内環境の改善は、メンタルヘルスにおいても極めて重要な役割を果たします。研究によれば、乳酸菌が腸内のバランスを整えることによって、ストレスに伴う腸内細菌叢の乱れを抑えることが可能だと示唆されています。この腸内の変化は、脳と腸の相互関係によって、ストレス反応や睡眠の質に好影響を及ぼすことが分かっています。

乳酸菌SBL88の研究では、ストレスによる睡眠障害を抱えるマウスに対して、睡眠質が改善されるという興味深い結果が得られました。この研究では、SBL88が睡眠障害マーカー遺伝子の発現を抑制することで、遺伝子レベルでもその効果が確認されています。これは、乳酸菌が持つ潜在的な治療効果を示すデータとして重要です。

ガセリ菌CP2305株の特性についての研究も進んでおり、この菌株は睡眠の質を高めることが報告されています。具体的には、睡眠の深さを向上させる効果があり、ストレスの緩和に寄与することが示唆されています。その結果、腸内環境を整えることでより良い睡眠を促進する可能性があるため、特に睡眠の質を改善したいと考えている人々にとって注目すべき選択肢となるでしょう。

乳酸菌NY1301株は、睡眠の質を改善すると同時に、日常生活で感じる疲労感を軽減することが複数の研究で証明されています。定期的に摂取することで体内環境を整える手助けをし、質の高い睡眠へと直結する可能性があることから、非常に注目されています。

参考)
松田一乗ら「新規機能性を有するプロバイオティクス製品の開発 L. パラカゼイ・シロタ株によるストレス緩和および睡眠の質改善作用」科学と生物 vol.60 No.5 2022)
宮崎歴「腸内フローラとこころの関係-食品成分での操作をめざして」日本調理科学会誌 vol.52 No.4 2019)
消費者庁機能性表示食品データベース 日清ヨーク株式会社「ピルクルミラクルケアa」機能性の科学的根拠に関する点検表

乳酸菌が疲労回復に与える影響

乳酸菌は、腸内環境を整え、健康を維持するための重要な微生物であり、疲労回復にも深く関与しています。この報告では、乳酸菌が疲労回復に与える影響を、エネルギー代謝、摂取タイミング、そして自律神経との関係について、具体的な研究に基づいて詳述します。

乳酸菌がエネルギー代謝と疲労感軽減に与える効果

乳酸菌は、宿主のエネルギー代謝にも影響を与える事が報告されています。一部の乳酸菌が作るEPS(細胞外多糖)は、他の腸内細菌、プロピオン酸菌などの代謝を促進し生じるプロピオン酸などの短鎖脂肪酸(SCFA)がその宿主の受容体であるGPR41/GPR43などを介して宿主のエネルギー代謝に影響を与える事が分かってきました。また。大学陸上部の長距離ランナーに CP2305乳酸菌を12週間摂取させたところ,不安感を軽減した他,疲労感の軽減が確認されたという報告もあります。他にはB30乳酸菌が自律神経を介し筋毛細血管の血流を促進させ、廃用性筋委縮と呼ばれる筋肉を使わない事で起こる遅筋から速筋への移行を抑制し、筋肉疲労を軽減する効果が示唆されています。

参考:
京都大学2023年1月18日プレスリリース「乳酸菌が作る菌体外多糖による腸内環境改善と肥満抑制―新世代ポストバイオティクス成分EPSの機能性とシンバイオティクス乳酸菌―」
清水秀憲ら「腸内細菌由来短鎖脂肪酸における宿主エネルギー代謝機能制御」Glycative Stress Research vol.6 No.3 2019)
弘田辰彦「活用が広がる乳酸菌殺菌体とその機能」(日本醸造協会誌 vol.115 No.6 2020)
立垣愛郎「乳酸菌の健康機能」Comprehensive Medicine vol.17 No.1 2018)

 疲労回復に最適な乳酸菌の摂取タイミング

乳酸菌の効果を最大限に引き出すためには、一般的に、運動後や疲労を感じた際に摂取することが推奨されています。運動中は体内のエネルギーが消費され、筋肉の回復が必要となるため、乳酸菌がもたらす栄養の吸収促進が有効と考えられます。運動直後に乳酸菌を摂取することで、腸内の善玉菌が活発になり、腸の運動が促進され、消化が助けられるため、体全体の疲労回復が効率的に行われると考えられています。運動後に摂取する食事としては、プロバイオティクスを含むヨーグルトや乳酸菌飲料が適しています。次に、朝食時に乳酸菌を摂取することも疲労回復に効果的であるという意見があります。朝は体が新しいエネルギーを必要とする時間であり、この時間帯に乳酸菌を摂取することで、消化機能が早期に働き始め、1日の活動に必要なエネルギーを効率よく取り入れることができます。また、睡眠前の乳酸菌摂取も有効とされています。睡眠中に腸内環境が整うことが重要であり、乳酸菌を摂取することで、腸内の良好なフローラを維持し、睡眠の質を向上させる効果があります。特に、就寝前にヨーグルトなどを摂取することで、就寝中に腸内で乳酸菌が活発に働き、翌日の疲労感を軽減する助けになるでしょう。このように、時間帯に応じて乳酸菌を適切に摂取することで、腸内環境を整え、一日を通じて疲労感を軽減する効果があると考えられます。

乳酸菌と自律神経の関係

乳酸菌は腸内フローラのバランスを保ち、健康を維持するために重要な役割を果たします。その中で、乳酸菌と自律神経の関係についての研究が進められており、腸と脳の相互作用が注目されています。

自律神経は、身体の無意識の機能を調整する重要な神経系であり、大きく交感神経と副交感神経に分かれます。交感神経は、ストレスや危険な状況において活発になり、心拍数を上げたり血圧を上昇させたりします。一方、副交感神経はリラックス時に優位になり、心拍数を下げ、身体を休息モードにする役割があります。この二つの神経のバランスが取れた状態が、健康な生活を送る上で重要です。

腸は「第2の脳」とも呼ばれ、腸内の状態が脳に影響を与えることが知られています。腸内で生成されるセロトニンは、神経伝達物質として腸から脳への求心性神経回路を刺激し、脳の気分調節に寄与しており、心理的な健康に関わることから、腸内環境の改善が精神的なストレスや不安症状の軽減に寄与することが報告されています。

乳酸菌の摂取が自律神経にどのように影響するかについての研究がいくつかあります。例えば、ラットを用いた実験では、ある種の乳酸菌を含む飲料を投与することで、自律神経の活動が変化し、脳の視交叉上核からの信号により心拍変動の改善や血圧の低下が起こることが報告されています。さらに、特定の乳酸菌株が副交感神経を優位に保つ働きがあること、また、交感神経の活動を抑制する効果が見られたことが示されています。乳酸菌の中には、セロトニン生成を促進するものがあり、これが自律神経のバランスを整えるのに寄与します。この機序は、腸内細菌が神経系に影響を与える典型的な例です。このように乳酸菌の自律神経に与える影響は数々の研究から実証されており、睡眠と自律神経、共生細菌としての乳酸菌の関係がこれからさらに研究される事が期待されています。

参考)
永井克也ら「乳酸菌の腸内投与による自律神経活動と生理機能の変化」腸内細菌学雑誌 vol.23 2009)
サッポロビール株式会社2014年3月15日ニュースリリース「乳酸菌によるセロトニンを介した自律神経への作用を世界で初めて発見」
谷田守ら「LC1乳酸菌の自律神経を介する血圧低下作用」肥満研究 vol.12 No.3 2006)
豊浦麻記子ら「概日リズム・睡眠と自律神経機能」脳と発達 vol.54 2022)

乳酸菌の摂取方法と注意点

乳酸菌の効果をより体感しやすくするためには、毎日続けるための工夫や自分に合った乳酸菌の摂取方法、摂取量などを考えて摂取すると良いでしょう。ここではそのためのポイントをまとめます。

乳酸菌を取り入れた食事やサプリメントの選び方

乳酸菌は腸内環境を整えるために非常に有効ですが、摂取方法にはいくつかの選択肢があります。最も一般的な方法は、発酵食品を介しての摂取です。ヨーグルトや納豆、キムチなどには多くの乳酸菌が含まれており、それぞれ異なる種類の菌が存在します。具体的には、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、腸内の善玉菌を増やす効果があります。さらに、サプリメントとしての乳酸菌も手軽に摂取できる方法です。サプリメントを選ぶ際は、この記事で具体的な科学的エビデンスのあるような菌株名が記載された製品を選びましょう。

毎日続けるための乳酸菌の摂取法

乳酸菌を毎日の生活に取り入れるためには、習慣化が重要です。まずは、自分の食生活に無理なく取り入れられる方法を見つけることがカギです。他の食材と組み合わせることで、食事がより美味しく、栄養価も高まります。たとえば、ヨーグルトを朝食に加えることや、スムージーにヨーグルトなどを混ぜることが効果的です。また、日々の食事に発酵食品を1食ずつ取り入れることで、自然に乳酸菌を摂取することができます。サプリメントの場合も、毎日同じ時間に摂取することで、飲み忘れを防ぐことができます。

摂取量の目安と注意点

乳酸菌の摂取量は、一般的なヨーグルトであれば1日あたり1杯(約100g)、またはサプリメントの場合、製品に記載された推奨量に従うことが望ましいです。特に過剰摂取は腸内環境に影響を与える可能性があるため注意が必要です。自分の体調や生活環境に合わせて、必要に応じて摂取量を調整することが大切です。

また、乳酸菌の効果を実感するまでには時間がかかることがあるため、短期間で効果を期待しすぎない方が良いでしょう。定期的な摂取が重要であることを理解し、自分の体調の変化に応じて調整していくことが求められます。

睡眠改善と疲労回復のための乳酸菌活用法

乳酸菌の健康効果を最大限に引き出すためには、食事だけでなく、生活習慣全体を見直すことが重要です。規則正しい生活リズムを維持すること、特に睡眠の質を向上させるために、夕食の時間を早めに設定し、寝る前の過度な食事や飲酒を避けることが助けになります。さらに、日中の適度な運動も腸内環境の改善に寄与します。また、ストレス管理も重要で、リラックスするための時間を設けたり、趣味を楽しむことが、ストレスを軽減し、腸内環境や睡眠改善に良い影響を与えます。

乳酸菌の効果を最大化する生活習慣との組み合わせ

睡眠環境の整備
良い睡眠を得るためには、まず睡眠環境を整える必要があります。具体的には、寝室の温度、湿度、光の量を調整することが重要です。理想的な寝室の温度は約18〜22℃で、湿度は40〜60%が望ましいとされています。また、窓を遮光するカーテンを使用することで、光を遮り、より深い睡眠を得ることができます。これにより、睡眠の深さが増し、疲労回復効果が高まります。

睡眠リズムの確立
人間の体は、体内時計に基づいて活動するため、規則正しい睡眠リズムを確立することが疲労回復につながります。特に、毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きることを心がけることで、体内時計が整い、質の良い睡眠を得られるようになります。このような生活習慣は、鬱や不安症状の軽減にも寄与するとされています。

適度な運動の重要性
運動は、睡眠の質を向上させるための重要な要素です。日中に適度な運動を行うことで、体力が向上し、夜の睡眠も深くなります。特に、有酸素運動やストレッチは効果的で、運動後のリラックス感が睡眠の質を高めると言われています。ただし、寝る直前の過度な運動は逆効果になるため、運動は朝や午後の早い時間に行うことを推奨します。

食生活の見直し
睡眠の質を改善するためには、食生活の見直しも欠かせません。特に、カフェインやアルコールの摂取を控えることが重要です。カフェインは覚醒作用があるため、昼過ぎからは摂取を控え、アルコールも睡眠を阻害する可能性があるため、特に睡眠時間直前の摂取は避けるべきです。また、消化に良い食事を心がけることも、深い睡眠を促進します。特に、トリプトファンを含む食材、例えば、乳製品や魚、ナッツなどは、睡眠を促す効果があります。

睡眠改善と疲労回復に効く成分との組み合わせ

睡眠の質と疲労の回復は、これまでに延べた乳酸菌と合わせて他の有効性が報告されている成分を一緒に摂る事で、乳酸菌による腸内環境の改善と栄養吸収促進による相乗効果が期待できます。医師や薬剤師など専門家に相談しながら、体調に合わせて乳酸菌と組み合わせる成分を選び、試してみると良いでしょう。

1. GABA (γ-アミノ酪酸)

効果とメカニズム

GABAは脳内の抑制性神経伝達物質として機能し、神経の興奮を抑えることでリラックス効果が得られます。ストレスや不安を軽減し、睡眠の質を向上させるために広く利用されています。GABAの摂取が睡眠に与える影響については、いくつかの研究があり、特に入眠時間の短縮や中途覚醒の減少に効果があることが示されています。

2. テアニン

効果とメカニズム

テアニンは緑茶に豊富に含まれるアミノ酸で、リラックスを促進する効果があります。特に、ストレスによる覚醒状態を和らげることが期待されており、寝つきを良くする効果があるとされています。テアニンの睡眠改善効果に関する研究がいくつかあり、ストレスを軽減し、脳波において安静状態を示すアルファ波を増加させることが確認されています。

3. グリシン

効果とメカニズム

グリシンは体内で生成される非必須アミノ酸で、体温を下げることで入眠を促進する効果があります。入眠前にグリシンを摂取することで、睡眠の質が向上するとの報告もあります。グリシンの摂取に関する研究があり、睡眠の質向上に寄与することが報告されています。特に、寝る前にグリシンを摂取することで、スムーズな入眠と深い睡眠の確保が可能になることが示されています5。

4. マグネシウム

効果とメカニズム

マグネシウムは多くの生理機能に関わる重要なミネラルで、特に神経の興奮を抑える効果があります。マグネシウム不足は不眠や疲労感の増加につながることがあるため、適切な摂取が必要です。研究によると、マグネシウムの摂取が睡眠の質を改善し、心的健康状態を向上させることが確認されています。特に、マグネシウムを含むサプリメントが疲労回復に役立つ可能性があるとされています。

5. ハーブ類(バレリアン、カモミール等)

効果とメカニズム

バレリアンやカモミールは、古くから睡眠を助けるハーブとして知られています。これらは心を穏やかにし、リラックス効果を促進することで、睡眠の質を向上させると考えられています。バレリアンの効果については多くの研究があり、ハーブティーやエキスを用いた研究で、入眠時間の短縮や睡眠の質の向上が確認されています。

6. クロセチン

効果とメカニズム

クロセチンは、サフランやクチナシの果実に含まれる成分で、抗酸化作用を持ち、体内時計のリズムを整える効果があります。特に、メラトニンの分泌を促進することにより、睡眠の質の改善が期待されます。クロセチンは、安定した睡眠時間を保つためにも有効とされています。クロセチンの睡眠改善効果に関する研究も進められており、定期的に摂取することで睡眠の質が向上し、日中の覚醒状態を保ちやすくなることが示されています。

7. オルニチン

効果とメカニズム

オルニチンは、アミノ酸の一種で成長ホルモンの分泌を促し、疲労回復や睡眠の質の改善に寄与するとされています。オルニチンの摂取により、体内のアンモニアを解毒する作用が高まり、肝臓の健康もサポートします。オルニチンの効果に関する研究がいくつか行われており、睡眠と目覚めのリズムを改善する効果が期待できるとの報告があります。特に、肝機能の改善が睡眠の質にプラスの影響を与えることも示唆されています。

結論

これらのサプリメント成分は、睡眠改善や疲労回復において効果が期待されますが、その効果は個人差があり、何が最も適しているかは人それぞれ異なります。サプリメントを選ぶ際は、自分の症状やライフスタイルに合わせた成分を選ぶことが重要です。また、サプリメントの効果を最大化するためには、良好な生活習慣や適切な食事が不可欠です。専門家や医師と相談しながら適切な選択を行うことを推奨します。


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