研究開発コラム
機能性食品原料

乳酸菌と食物繊維の魅力を解説!水溶性食物繊維とオリゴ糖で腸内環境を整える3ステップ

「乳酸菌や食物繊維が腸活に良いって聞くけど、どうやって取り入れればいいの?」や「腸内環境を整えるために何を食べたら良いの?」そう思う方もいるかもしれません。乳酸菌と相性の良い食物繊維を効果的に取り入れることで、腸内環境を整え、腸活を成功させることができます。特に乳酸菌と相性の良い水溶性食物繊維とオリゴ糖を活用することで、腸内フローラをさらに良好な状態に導けます。この記事では、乳酸菌と食物繊維・オリゴ糖の種類の基礎知識、水溶性食物繊維とオリゴ糖が腸活に役立つ理由、そして具体的に実践できる3つのステップをご紹介します。

乳酸菌と食物繊維とは?基本的な役割と健康効果

乳酸菌の基本的な役割

乳酸菌は、腸内に存在する善玉菌の一種であり、主に発酵食品に含まれています。これらの微生物は、腸内フローラのバランスを整える重要な役割を果たしています。乳酸菌は、腸内で糖を発酵させて乳酸を生成し、腸内のpHを低下させることで、悪玉菌の増殖を抑制します。このプロセスは、腸内環境を整えるだけでなく、免疫機能の向上にも寄与します。研究によると、乳酸菌の摂取は、下痢や便秘の改善、さらにはアレルギー症状の軽減にも効果があるとされています。

参考:
(一社)全国発酵乳乳酸菌飲料協会「乳酸菌について知る」
生井楓他「機能強化乳酸菌の創製研究」(日本乳酸菌学会誌 33(1) 2022)

食物繊維の基本的な役割

食物繊維は、植物性食品に含まれるヒトの消化酵素で消化されず、消化管から吸収されない成分で、主に野菜、果物、穀物に豊富に含まれています。食物繊維は大きく分けて水溶性と不溶性の2種類に分類されます。水溶性食物繊維(大麦のベータグルカン、りんごのペクチン、蒟蒻のグルコマンナン、海藻のアルギン酸など)は水に溶けてゲル状になり、腸内で善玉菌のエサとなります。これにより、腸内の善玉菌が増殖し、腸内環境が改善されます。一方、不溶性食物繊維(野菜のセルロース、カカオのリグニン、カニ・エビのキチンなど)は水分を吸収して膨張し、便のかさを増やすことで腸の動きを活発にします。これにより、便秘の予防や改善に寄与します。

参考:
厚生労働省e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
女子栄養大学出版部2020年11月4日記事「Q2 「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」との違いは? またそれぞれの作用は? どちらをどのくらいとればいいの?」

乳酸菌と食物繊維の相乗効果

乳酸菌と食物繊維は、単独でも健康に寄与しますが、組み合わせて摂取することで相乗効果が期待できます。特に、水溶性食物繊維は乳酸菌の栄養源となり、乳酸菌の活動を促進します。最近の研究では乳酸菌とその効率的なエサとなる食物繊維・オリゴ糖を同時に摂取する事をシンバイオティクスと呼び、研究が行われています。同時に摂る事で、腸内の善玉菌が効率的に増加し、腸内フローラのバランスがさらに改善されます。研究によると、乳酸菌と食物繊維を同時に摂取することで、腸内の有害物質の排出が促進され、消化吸収がスムーズに行われるようになることが示されています。

参考:
庄子和夫「私たちと腸内細菌叢のつながり」(心身健康科学 20(2) 2024)
野本康二「プロバイオティクスおよびシンバイオティクスの可能性」(ファルマシア 53(11) 2017)

健康効果の具体例

乳酸菌と食物繊維の組み合わせは、さまざまな健康効果をもたらします。例えば、腸内環境の改善により、免疫力が向上し、感染症のリスクが低下します。また、腸内フローラのバランスが整うことで、肥満や糖尿病の予防にもつながるとされています。さらに、乳酸菌と食物繊維の摂取は、心の健康にも寄与することが研究で示されています。腸内環境が整うことで、ストレスや不安感の軽減が期待できるのです。

参考:
野本康二「プロバイオティクスおよびシンバイオティクスの可能性」(ファルマシア 53(11) 2017)

まとめ

乳酸菌と食物繊維は、腸内環境を整えるために欠かせない成分です。乳酸菌は腸内の善玉菌として働き、食物繊維は腸内での消化を助ける役割を果たします。これらを組み合わせて摂取することで、腸内環境がより効果的に改善され、健康効果が高まります。日常的にヨーグルトや発酵食品、食物繊維を豊富に含む食品を摂取することが、健康維持に役立つでしょう。

水溶性食物繊維とオリゴ糖の特長と腸活へのメリット

水溶性食物繊維とオリゴ糖は、腸内環境の改善において重要な役割を果たします。水溶性食物繊維は、腸内でゲル状になり、便を柔らかくするだけでなく、腸内の善玉菌のエサとなり、腸内フローラのバランスを整える効果があります。特に、ペクチンやグルコマンナンなどの成分が含まれ、これらは腸内での発酵を促進し、短鎖脂肪酸の生成を助けます。短鎖脂肪酸は腸内のpHを低下させ、悪玉菌の抑制に寄与します。

水溶性食物繊維の特長

水溶性食物繊維は、水に溶ける性質を持ち、腸内でゲル状になり、消化過程において重要な役割を果たします。主な特長としては、便を柔らかくし、腸内の善玉菌のエサとなることで腸内環境を整える働きがあります。また、水溶性食物繊維のうち「難消化性デキストリン」と呼ばれる食物繊維は、食後の血糖値の急上昇を抑える効果、脂肪を吸着し体内に吸収しにくくし中性脂肪の上昇を抑える効果などが特定保健用食品(トクホ)で認可され広く利用されています。

水溶性食物繊維は、特に果物、野菜、豆類、海藻類に多く含まれています。これらの食品を摂取することで、腸内の善玉菌が増加し、腸内フローラのバランスが改善されることが期待されます。

参考:
消費者庁「特定保健用食品制度の概要」
女子栄養大学出版部2020年11月4日記事「Q2 「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」との違いは? またそれぞれの作用は? どちらをどのくらいとればいいの?」

 オリゴ糖の特長

オリゴ糖は、短い糖の鎖からなる炭水化物で、消化されにくく、大腸まで届くことが特徴です。オリゴ糖は腸内の善玉菌、特にビフィズス菌の増殖を促進し、腸内環境を改善する効果があります。これにより、便秘の改善や免疫機能の向上が期待されます。

オリゴ糖は、特に乳製品や野菜、果物に含まれており、日常的に摂取することで腸内の健康を維持する助けになります。フラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖など、さまざまな種類が存在し、それぞれ異なる効果を持っています。代表的なオリゴ糖としてガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)などがあります。これらのオリゴ糖は野菜などから摂取もできますが、砂糖と同じ様にオリゴ糖単体で市販されていますので、下記の消費者庁の特定保健用食品制度の概要に記載されている、各オリゴ糖の1日当たりの摂取目安量(1g~10g)を参考に料理に加えると良いでしょう。

参考:
ヤクルト薬品工業株式会社「オリゴメイト®(ガラクトオリゴ糖)」
株式会社明治フードマテリア「メイオリゴ®(フラクトオリゴ糖)」
消費者庁「特定保健用食品制度の概要」
(独)農畜産業振興機構「プレバイオティクスとフラクトオリゴ糖~シュガーリプレイスメントから免疫改善まで~」

腸活へのメリット

水溶性食物繊維とオリゴ糖を組み合わせて摂取することで、腸内環境の改善が促進されます。水溶性食物繊維は腸内の水分を保持し、便を柔らかくすることで排便をスムーズにし、オリゴ糖は善玉菌のエサとなることで腸内フローラを活性化します。この相乗効果により、腸内の健康が向上し、便秘の予防や改善、さらには免疫力の向上が期待されます。

また、これらの成分は、腸内で短鎖脂肪酸を生成することにも寄与し、短鎖脂肪酸は腸内のpHを低下させ、悪玉菌の増殖を抑える働きがあります。これにより、腸内の健康が保たれ、全身の健康にも良い影響を与えることが示されています。

参考:
高橋治城ら「Proton pump inhibitor(PPI)使用患者に対する経腸栄養剤の種類が腸内細菌叢へ及ぼす影響の違い―急性期脳卒中患者を対象とした前向き観察研究―」(日本臨床栄養代謝学会 3(5) 2021)

乳酸菌と食物繊維を活用した腸内環境改善の3ステップ

腸内環境の改善は、健康維持や病気予防において非常に重要です。特に、乳酸菌と食物繊維は腸内フローラのバランスを整えるために欠かせない要素です。以下に、乳酸菌と食物繊維を活用した腸内環境改善の3つのステップについて詳しく説明します。

日々の食事に発酵食品と野菜を加える

乳酸菌を含む食品として、ヨーグルト、キムチ、納豆などが挙げられます。これらの発酵食品は、腸内に良い影響を与える善玉菌を豊富に含んでおり、日常的に摂取することで無理なく乳酸菌を取り入れることができます。特に、ヨーグルトは手軽に食べられ、朝食やおやつとしても人気があります。また、キムチや納豆は、食事にアクセントを加えるだけでなく、腸内環境を整えるための強力な味方です。

さらに、食物繊維が豊富な野菜や果物を積極的に取り入れることが重要です。特に水溶性食物繊維を含む食品(例:オートミール、リンゴ、バナナなど)を意識的に摂取することで、乳酸菌との相乗効果を得ることができます。水溶性食物繊維は腸内でゲル状になり、腸内の善玉菌のエサとなるため、腸内フローラのバランスを整えるのに役立ちます。

オリゴ糖をプラスする

乳酸菌と相性の良いオリゴ糖を活用することで、腸内フローラの善玉菌を増やすサポートができます。オリゴ糖は、腸内で善玉菌のエサとなり、腸内環境を改善する効果があります。具体的には、フラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖が代表的なオリゴ糖です。これらは、コーヒーやヨーグルト、スムージーなどに加えて摂取する方法が手軽で、日常生活に取り入れやすいです。

ただし、オリゴ糖の過剰摂取は腸内での発酵を促進しすぎてしまう可能性があるため、適量を心がけることが重要です。一般的には、1日あたり5〜10gのオリゴ糖を目安に摂取することが推奨されています。オリゴ糖を意識的に摂取することで、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境をより良好に保つことができます。

継続的な摂取を心がける

腸内環境は一朝一夕では改善しません。乳酸菌や食物繊維、オリゴ糖を継続的に摂取することで、徐々に腸内フローラが整ってきます。特に、腸内フローラは食生活の影響を受けやすいため、日々の食事に腸活を意識した食材を取り入れることが大切です。バランスの良い食事を心がけ、乳酸菌や食物繊維、オリゴ糖を意識的に摂取する習慣をつけることで、腸内環境の改善が期待できます。

腸内環境の改善は、免疫力の向上や便秘の解消、さらにはメンタルヘルスの向上にも寄与するとされています。腸内フローラのバランスを整えることで、体全体の健康をサポートすることができるのです。日々の食事に発酵食品や野菜、オリゴ糖を取り入れ、継続的に摂取することが、健康的な腸内環境を維持するための鍵となります。

このように、乳酸菌と食物繊維を活用した腸内環境改善の3ステップは、日常生活に簡単に取り入れられる方法であり、健康維持に大いに役立つでしょう。腸内環境を整えることで、より良い生活を送るための第一歩を踏み出しましょう。

乳酸菌・食物繊維を含むおすすめ食品と簡単レシピ

腸内環境を整えるためには、乳酸菌や食物繊維を豊富に含む食品を積極的に摂取することが重要です。ここでは、具体的な食品とそれを使った簡単なレシピを紹介します。オリゴ糖は好みに合わせて市販されているものを添加するのが良いでしょう。

乳酸菌を含む食品

①無糖ヨーグルト
無糖ヨーグルトは、乳酸菌を多く含む食品の代表格です。特に、プロバイオティクスとして知られるビフィズス菌や乳酸菌が腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を改善します。無糖ヨーグルトにバナナやハチミツ、オリゴ糖を加えることで、甘みを加えつつ、食物繊維やオリゴ糖も同時に摂取できます。

②ヨーグルトボウルのレシピ
材料:

・無糖ヨーグルト 200g
・バナナ 1本
・ハチミツ 大さじ1
・オリゴ糖 大さじ1
・お好みのナッツやシリアル 適量

作り方:

バナナを輪切りにします。
ボウルに無糖ヨーグルトを入れ、その上にバナナをのせます。
ハチミツとオリゴ糖をかけ、お好みでナッツやシリアルをトッピングします。
よく混ぜてから食べると、食感が楽しめます。
このヨーグルトボウルは、朝食やおやつにぴったりです。手軽に作れる上に、栄養価も高いので、忙しい日々の中でも続けやすいです。

食物繊維を含む食品

昆布やわかめは、水溶性食物繊維が豊富で、腸内の善玉菌のエサとなります。これらを使ったスープは、簡単に作れる上に、栄養価も高いです。

①昆布とわかめのスープのレシピ
材料:

・昆布 10g
・乾燥わかめ 5g
・水 500ml
・しょうゆ 大さじ1
・みりん 大さじ1
・お好みでネギや豆腐 適量

作り方:

昆布を水に浸して30分ほど置きます。
鍋に水と昆布を入れ、中火で加熱します。
沸騰したら、乾燥わかめを加え、さらに2〜3分煮ます。
しょうゆとみりんで味を調え、お好みでネギや豆腐を加えます。
器に盛り付けて完成です。
このスープは、昆布の旨味とわかめの食感が楽しめる一品です。食物繊維が豊富なので、腸内環境を整えるのに役立ちます。

まとめ

これらの食品を普段の食事に取り入れることで、腸活を無理なく進めることができます。特に、無糖ヨーグルト、昆布、わかめ、納豆は、手軽に入手できる上に、栄養価も高いので、日常的に摂取することをおすすめします。簡単なレシピを用いることで、忙しい日々の中でも継続しやすくなります。腸内環境を整えるために、ぜひこれらのレシピを試してみてください。

さらに、腸活に役立つ他の食品として、発酵食品の代表であるキムチや味噌、チーズなども挙げられます。これらは、腸内の善玉菌を増やすだけでなく、食物繊維も豊富に含まれているため、腸内環境を整えるのに非常に効果的です。特に、キムチは乳酸菌が豊富で、辛味成分が腸の動きを活発にする効果も期待できます。これらの食品を日常的に取り入れることで、より効果的な腸活が実現できるでしょう。


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