研究開発コラム
機能性食品原料

植物性乳酸菌とは?驚きの効果とおすすめ食品を徹底解説

近年、健康志向の高まりとともに植物性乳酸菌が注目を集めています

植物性乳酸菌は腸内環境を整えるだけでなく、免疫力向上やアレルギーの緩和といった幅広い効果が期待されています。

さらに味噌やキムチなど、身近な発酵食品に多く含まれており、手軽に摂取できる点も魅力です。

本記事では、植物性乳酸菌の由来や効果、具体的な食品、そしてその摂取方法や今後の展望について解説します。

健康で豊かな生活を送るために、ぜひ植物性乳酸菌の知識を深めてください。

植物性乳酸菌とは何か

植物性乳酸菌とは、主に植物由来の発酵食品に含まれる乳酸菌です。腸内環境の改善や免疫力向上など、健康維持に多くの効果が期待されています。

まずは、植物性乳酸菌の概要について解説します。

植物性乳酸菌の由来と特性

植物性乳酸菌は、主に野菜や穀物などの植物を原料にした発酵食品から得られる乳酸菌です。乳酸菌の由来自体が植物というわけではないため、誤解のないよう注意が必要です。

また植物性乳酸菌と言う呼称は商用イメージとして用いられる言葉で、学術的に植物性乳酸菌という乳酸菌がある訳ではありません。同様に動物性乳酸菌という分類がある訳でもなく、あくまで植物を発酵させた発酵食品などから分離された乳酸菌を、商用イメージとして植物性乳酸菌と呼んでいるに過ぎない事に注意しましょう。

代表的な発酵食品には、味噌やぬか漬け、キムチなどがあげられます。これらの食品は乳酸菌によって穀物や野菜が自然発酵し、摂取によって、腸内環境を整える効果が知られています。

植物性乳酸菌の特性は、過酷な環境でも生存しやすい点です。酸性や塩分濃度が高い環境でも活動できるため、腸内でも長く生き残って効果を発揮しやすいのです。

この特性のため、植物性乳酸菌は近年、健康食品やサプリメントにおいても注目されています。

さらに、植物性乳酸菌はイメージ戦略として動物性食品を避けるヴィーガンやベジタリアンにも適した選択肢です。

参考:業界の動向|植物性乳酸菌を考える

植物性乳酸菌と動物性乳酸菌の違い

植物性乳酸菌と動物性乳酸菌の大きな違いは、その由来と耐久性です。

植物性乳酸菌は野菜や穀物など植物性の発酵食品に由来し、動物性乳酸菌は主にヨーグルトやチーズなどの乳製品に由来します。繰り返しになりますが、植物性乳酸菌や動物性乳酸菌と言う学術分類がある訳ではなく、以降もあくまで商用的に便宜上植物(発酵食品)から分離された乳酸菌を植物性乳酸菌、乳など動物由来原料を発酵させたヨーグルト等から分離された乳酸菌を動物性乳酸菌と呼びます。

この発酵の元となる食品の違いによって、あくまで学術的でなく商用イメージの話ではありますが植物性乳酸菌は動物性食品を摂取しない人々にとっても食事の選択肢のひとつとなり得るのです。

また、植物性乳酸菌は酸性や塩分濃度の高い環境でも生き残る強さを持っています。

たとえば、ぬか漬けやキムチなどの塩分の高い環境で発酵が進む際も、植物性乳酸菌は活発に働き続けます。

一方、動物性乳酸菌は比較的環境適応能力が弱く、胃酸などで死滅しやすいのが特徴です。

この違いが腸内での生存率や健康効果に大きな影響を与えるため、植物性乳酸菌は長期間にわたる腸内環境改善に効果的とされています。

参考:
業界の動向|植物性乳酸菌を考える
(公財)腸内細菌学会Q&A「植物性乳酸菌と動物性乳酸菌はどう違うのですか?」

植物性乳酸菌が注目される理由

植物性乳酸菌が注目される理由は、その強い生存能力と多様な健康効果にあります。

まず、植物性乳酸菌は胃酸や胆汁といった過酷な環境でも生存する力が強いため、腸に到達しやすく、効果を発揮しやすいことが特徴です。

さらに、植物性乳酸菌は発酵食品として長い歴史を持つ味噌や漬物、キムチなど、日常的に摂取できる食品に豊富に含まれています。そのため、無理なく日常の食生活に取り入れることができる点が魅力です。

また、次の章で詳しく解説しますが、近年の研究でさまざまな効果が発見され、その有用性が広く認められつつあります。

こうした背景から、健康志向の高まりとともに、植物性乳酸菌の需要と注目は今後さらに拡大していくでしょう。

参考:業界の動向|植物性乳酸菌を考える

植物性乳酸菌の効果とは?

植物性乳酸菌は、多くの研究により有効性が確認されています。本記事では、植物性乳酸菌の3つの効果について詳しく解説します。

腸内環境を整える

植物性乳酸菌は腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑えることで、腸内環境を整えます

特に植物由来の乳酸菌は酸や塩分などの厳しい環境に強く、生きたまま胃酸を通過し、腸に到達する可能性が高いです。

乳酸菌により腸内環境が改善されると便秘や下痢といった腸の不調が解消され、消化や栄養吸収の効率が向上します。

最近では、腸内環境によるメンタルヘルスへの影響が示唆されており、植物性乳酸菌の摂取がストレスの軽減や精神的な安定にもつながることが期待されています。

参考:
植物性発酵食品由来の乳酸菌Lactobacillus brevis KB290の健康効果
腸内フローラとメンタルヘルス|公益財団法人 ヤクルト・バイオサイエンス研究財団

免疫力を高める

植物性乳酸菌は、腸内で免疫細胞を刺激し、体全体の免疫力を高める働きがあります

腸は「免疫の司令塔」と呼ばれるほど免疫機能において重要な役割を果たしており、腸内の健康状態が免疫システムの強化に直結します。

植物性乳酸菌の継続的な摂取により免疫細胞が活性化され、風邪やインフルエンザといった感染症に対する抵抗力が高まるのです。

また植物性乳酸菌は腸内の炎症を抑える効果もあり、慢性的な炎症や免疫系の異常反応を緩和する役割も期待されています。

特に免疫力の低下が懸念される高齢者や、ストレスや生活習慣の乱れで免疫が弱まっている人にとって、植物性乳酸菌は有用といえるでしょう。

参考:植物性発酵食品由来の乳酸菌Lactobacillus brevis KB290の健康効果

アレルギー症状を緩和する

植物性乳酸菌は、アレルギー反応を抑える働きがあることが研究で示されています。

アレルギーとは、免疫システムが異常に反応し、過剰な炎症を引き起こすことです。

信州大学の研究では、伝統的な発酵食品であるすんき漬から分離された乳酸菌にIgEの産生を抑制する菌株があることが明らかになりました。

IgEは花粉症やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー症状に関与しており、さまざまなアレルギー症状が緩和される可能性があります。

植物性乳酸菌の継続的な摂取は、アレルギー体質の改善や全身の炎症の予防にもつながるため、自然な方法でアレルギーを管理したい人にとって有用な選択肢といえるでしょう。

参考:Pediococcus pentosaceus Sn26株のアレルギー性下痢症抑制作用及びその作用機序解析

植物性乳酸菌が含まれるおすすめ食品4選

植物性乳酸菌は、日常的に摂取できる食品に多く含まれています。

本記事では、腸内環境を整えるために役立つ代表的な食品を4つご紹介します。

味噌

味噌は、大豆や米などを発酵させて作られる日本の伝統的な発酵調味料で、植物性乳酸菌が豊富に含まれています。

味噌に含まれる乳酸菌には腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の抑制を助ける働きがあります。特に長期間発酵させた「天然醸造味噌」には、生きた乳酸菌が多く含まれているため、腸内環境の改善に効果的です。

味噌はそのまま味噌汁として日常的に摂取しやすく、野菜や海藻と組み合わせることで栄養バランスも向上します。

また味噌には抗酸化作用もあり、体内の老化を抑える効果が期待されています。

調理の際は、味噌の乳酸菌が熱に弱いため、味噌汁を煮立たせずに温度を抑えた状態で摂取するのがポイントです。

ぬか漬け

ぬか漬けは、ぬか床に野菜を漬け込むことで発酵させる日本の伝統的な漬物で、豊富な植物性乳酸菌を含んでいます。

特に、ぬか床に住みつく乳酸菌が腸内フローラを整え、腸内環境の改善に貢献します。

ぬか漬けではキュウリやナス、大根などの野菜を漬け込むことが多く、栄養素や食物繊維も同時に摂取できる点が特徴です。

ぬか床の管理がやや手間ですが、家庭で簡単に作れる漬物として根強い人気があります。

市販品も手軽に入手できるため、定期的に取り入れることで腸内環境を整え、便通改善や体内デトックスに役立ちます。

キムチ

キムチは、白菜や大根を発酵させて作る韓国の伝統的な発酵食品で、植物性乳酸菌が多く含まれています。キムチに使用される唐辛子やニンニクなどの香辛料が他の有害菌を抑え、乳酸菌の増殖を助けます。

また、キムチは発酵が進むにつれて乳酸菌の量が増えるため、より多くの乳酸菌を摂取するためには、しっかりと発酵したキムチを選ぶことが重要です。

さらに、キムチにはビタミンCやカプサイシンが豊富に含まれており、免疫力向上や代謝の促進にも効果があります。

辛さの調整も可能なため日常の食事に取り入れやすく、発酵食品を簡単に摂取できる手軽な方法として多くの人に愛されています。

植物性ヨーグルト

植物性ヨーグルトは、牛乳の代わりに大豆やアーモンドミルクなど植物由来の原料で作られたヨーグルトで、乳製品を避けるビーガンや乳糖不耐症の方にも適した発酵食品です。

植物性ヨーグルトは、腸内の善玉菌を増やし、便通を改善するだけでなく、消化不良やお腹の張りを防ぐ効果もあります。

また、植物性ヨーグルトには食物繊維や植物性タンパク質が含まれているため、健康維持に役立つ栄養素も同時に摂取できます。

通常のヨーグルトに比べて味もさっぱりとしており、果物やナッツを加えるなどアレンジがしやすく、毎日の食事に取り入れやすい点も魅力です。

植物性乳酸菌の効果的な摂取方法

植物性乳酸菌は、食品から自然に摂取する方法に加えて、サプリメントによる補助摂取により効率的に取り入れることができます。

食品から自然に摂取する

植物性乳酸菌を自然に摂取するには、日々の食事に発酵食品を積極的に取り入れることが基本です。

味噌、ぬか漬け、キムチ、植物性ヨーグルトなど、日常の食卓で簡単に摂取できる食品には、豊富な植物性乳酸菌が含まれています。

このような食品の継続的な摂取により腸内フローラのバランスが改善され、便通の改善や免疫力の向上、アレルギー症状の緩和といった効果が期待されます。

特に発酵が進んだ食品ほど乳酸菌が多く含まれるため、しっかり発酵したものを選ぶのがポイントです。

ただし発酵食品に含まれる乳酸菌は熱に弱いため、加熱しすぎない調理法が推奨されます。

サプリメントで補助摂取する

忙しい生活の中で発酵食品を毎日食べることが難しい場合は、サプリメントによる補助摂取が効果的です。

サプリメントは植物性乳酸菌を濃縮して含んでいるため、手軽に高濃度の乳酸菌を摂取できる利点があります。

特に、乳酸菌の生きたまま腸に届くことを重視したサプリメントは、胃酸に強いカプセルに包まれており、効率的に乳酸菌を腸まで届けられます。

ただし、サプリメントは食品に比べて栄養バランスが偏りやすいため、日々の食事との併用が重要です。

また、過剰摂取は避け、パッケージに記載された摂取量を守ることが推奨されます。

参考:腸溶性カプセル(耐酸性製剤化)|公益社団法人 腸内細菌学会

植物性乳酸菌の研究と今後の展望

植物性乳酸菌の研究は、糖尿病や肥満などの改善効果を含む健康維持への可能性を示しています。特にパーソナライズドニュートリションやプロバイオティクス分野で今後の展開が期待されているため、次で詳しく解説します。

健康への期待

近年の研究により明らかになってきたのは、植物性乳酸菌が糖尿病や肥満の改善に役立つ可能性です。

腸内フローラのバランスが崩れると、インスリン抵抗性が高まり、糖尿病リスクが増加することがわかっています。

一方、植物性乳酸菌を含む発酵食品を摂取し腸内フローラが整うことで、インスリン抵抗性が改善し、血糖値の安定にもつながります。

また腸内環境の悪化が脂肪蓄積や代謝異常に影響を与えることがわかっていますが、植物性乳酸菌はこれを改善する可能性があります。

このような研究結果は、将来的に植物性乳酸菌を用いた糖尿病や肥満の予防・改善のための新しいアプローチが可能になる未来を示唆しています。

参考:
糖尿病と腸内細菌|モダンメディア 62巻5号2016〔腸内細菌叢〕159
乳酸菌の健康機能|Comprehensive Medicine Vol.17 No.1(2018)

植物性乳酸菌の今後の展望

植物性乳酸菌は今後、パーソナライズドニュートリション(個別栄養指導)分野での活用が進むと予想されています。

パーソナライズドニュートリションとは、一言であらわすと、個人ごとの栄養指導です。

まず健康診断の結果などを元に、個人個人の客観的な健康状態を把握します。そして、対象者に必要と思われる個別栄養指導を行い、食事による栄養バランスの崩れを矯正します。

健康バロメーターの一環として腸内細菌の状態を解析し、最適な乳酸菌を摂取すれば、より効果的に健康維持や病気予防ができるとされています。

また、未来の技術として、AIやバイオテクノロジーを活用した腸内フローラ解析や植物性乳酸菌のカスタマイズが可能になり、より個別化されたアプローチが普及していくでしょう。

参考:
農林水産省技術会議|医学の視点から農林水産・食品分野との連携や医・食の連携による新たな産業創出の展望
NTT東日本|健康のDX「パーソナライズド・ニュートリション」

まとめ:植物性乳酸菌を日々の生活に取り入れ健康な暮らしを

植物性乳酸菌には、腸内環境を整え、免疫力を高めるなどの幅広い健康効果が期待されています

日本には、味噌・ぬか漬け・キムチなど、日常の食事に簡単に植物性乳酸菌を取り入れられる食品が豊富にあります。

継続的な摂取により、便通改善やアレルギー緩和、さらには糖尿病や肥満の予防にも役立ち、免疫賦活作用など全身の健康増進も期待できるでしょう。

食品やサプリメントを上手に活用し、植物性乳酸菌を日々の健康維持に役立ててください。


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