研究開発コラム
機能性食品原料

機能性食品素材を徹底解説 関連企業や機能別の素材一覧〜市場規模まで

「機能性食品素材とは何か」「機能性食品素材の一覧が見たい」と思う方は多いでしょう。機能性表示食品などの注目の高まりとともに、機能性食品素材の需要も拡大しています。

そこで本記事では機能性食品素材の基本事項と代表的な素材について、効能別に解説します。さらに機能性食品素材の市場動向についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

機能性食品素材とは

機能性食品素材とは、健康食品やサプリメントなどに含まれている健康機能を保持する栄養素や成分のことです。

機能性を持つ主成分の具体例としては、乳酸菌やGABA、ガラクトオリゴ糖などが挙げられます。

機能性食品素材は「特定保健用食品(トクホ)」や「栄養機能食品」「機能性表示食品」などの保健機能食品を開発するうえでの要となる素材で、このうちヘルスクレームと呼ばれる保健機能を製品に機能性表示する際には機能性や安全性の学術的な根拠が必要となります。

コロナ禍により健康を意識する人々が増加したことにより保健機能食品への人気が高まり、機能性食品素材にも注目が集まっています。

機能性食品素材の代表的な機能

この章では、代表的な機能性食品素材について、おおまかな機能に分類して解説します。

睡眠に関わる成分

睡眠に関わる機能性食品素材について、下記にまとめました。

素材特徴効果
テアニン・緑茶に含まれる旨み成分(アミノ酸)の一種・植物では、茶以外にもツバキやサザンカにも含まれる
・睡眠の質の改善・交感神経を鎮め、リラックスさせる
GABAGamma-Amino Butyric Acid = γアミノ酪酸・哺乳類の脳内にも存在し、抑制性の神経伝達物質としてはたらく・神経を鎮め、リラックスさせる・睡眠の質の改善・ストレスの緩和・血圧の低下
グリシン・体内で合成できるアミノ酸の一種・クレアチニンの原料となる・不眠の軽減・睡眠の質の改善
トリプトファン・人間の体内で合成できない必須アミノ酸・セロトニン合成の基となる・不眠の軽減・鎮静効果・うつの軽減

睡眠に関わる機能性食品素材には、上記以外にもセリンやエゾウコギなどがあります。また、ストレスの緩和や鎮静効果も睡眠の改善に役立ちます。

女性の健康に関わる成分

女性の健康に関わる機能性食品素材について、下記にまとめました。

素材特徴効果
ショウガ・漢方薬にも使用される・ジンゲロールやショウガオールなどの特有の成分を含む・加熱の有無で効能が変化する・体を温める(冷えの改善)・血流の改善・発汗作用・つわりの軽減
ヘム鉄・動物性食品に多く含まれる・非ヘム鉄より吸収率が高い・ヘモグロビンの構成要素の1つ・貧血予防・運動パフォーマンスの向上
葉酸・水溶性ビタミンの一種・熱や光に弱い・体内で合成できない・貧血予防・胎児の神経管閉鎖障害の予防
ツバキ種子エキス・ツバキの種子から抽出される・ツバキサポニンを含む・整髪、化粧品、健康食品に利用される・血流の改善・冷えの改善・しわやくすみの予防・抗糖化作用

この表では、女性に多い「冷え」「貧血」に関する悩みのほか、妊娠や出産に関わる機能性にも焦点をあてています。なお、妊娠を計画している女性や妊娠中の女性は、葉酸の追加摂取が政府により推奨されています。

参考:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版) 03_各論_対象特性_妊婦・授乳婦

腸内環境に関わる成分

腸内環境に関わる機能性食品素材について、下記にまとめました。

素材特徴効果
乳酸菌・糖を分解し乳酸を生み出す・ヨーグルトや漬物などの発酵食品の製造に利用される・整腸作用・有害な菌の繁殖を抑制する
ビフィズス菌・酸素環境下では生育できない・発酵作用で乳酸と酢酸を産生する・整腸作用・有害な菌の繁殖を抑制する
難消化性デキストリン・トウモロコシ由来の水溶性の食物繊維・消費者庁において特定保健用食品に認定されている・整腸作用・糖や脂肪の吸収を緩やかにすることで、血糖値の急上昇を抑制する
イヌリン・水溶性食物繊維の一種・ゴボウやチコリーなどの野菜に多く含まれる・整腸作用・腸内細菌のエネルギーとなる・血糖値の急上昇を抑える

腸内環境を整える働きがある素材としては、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌以外に、腸内細菌のエサとなる食物繊維なども含まれます

脳機能に関わる成分

脳機能に関わる機能性食品素材について、下記にまとめました。

素材特徴効果
DHADocosahexaenoic Acid、ドコサヘキサエン酸・必須脂肪酸の一種・体内ではほとんど合成されない・記憶力の改善・認知機能の改善
アスタキサンチン・カロテノイドの一種・キサントフィル類に分類される・血液脳関門を通過できる・抗酸化作用・疲労軽減・眼精疲労の軽減
ココナッツオイル・ココヤシの実(胚乳)から抽出される油・飽和脂肪酸を多く含む・酸化されにくい・認知機能の改善・抗菌作用・抗酸化作用
イチョウ葉エキス・イチョウの緑葉から抽出される・ケルセチンやギンゴライドなどを含む・高齢者における記憶力の改善

脳機能に関する機能性成分には、GABAやテアニン、クルクミンなどもあります。イチョウ葉エキスについては、健常な成人が摂取しても記憶力向上には貢献しないとされています。

生活習慣病に関わる成分

生活習慣病に関わる機能性食品素材について、下記にまとめました。

素材特徴効果
DHADocosahexaenoic Acid = ドコサヘキサエン酸・必須脂肪酸の一種・体内ではほとんど合成されない・中性脂肪の低下・血圧降下・アレルギーへの効果
リコピン・カロテノイドの一種・トマトやスイカなどの野菜、果物に多く含まれる・抗酸化作用(非常に強い)・動脈硬化の予防・血糖値の改善
亜麻仁油・一年草である「アマ」の種子『アマニ』から抽出される・熱に弱い・酸化されやすい・動脈硬化の予防・高血圧の予防・コレステロールの低減・アレルギー症状の改善
オリーブ葉・オリーブの葉・オレウロペインと呼ばれるポリフェノールを含む・血圧降下・抗酸化作用

表で解説した機能性食品素材には生活習慣病の予防に役立つ作用が多くあることから、これまで複数の健康食品で採用されています。

食事の中でうまく取り入れることで、動脈硬化などの生活習慣病を回避できます

機能性食品素材の市場規模と現状

この章では、機能性食品素材の市場規模と現状について解説します。

現在の状況

民間の調査会社によると、日本国内における2021年度の健康・機能性食品素材の市場規模は、流通金額ベースで1,894億7,700万円で前年度比3.1%増加しています。

調査対象である44素材の2021年度流通量の合計は61725.5トン(前年度比3.7%増)であり、金額、流通量ともに伸びました

また機能性食品素材の主たる用途である健康食品市場が伸び悩む状況であるのに対し、一般食品における健康機能を付与した商品開発は活発化しています。

そのため機能性食品素材の需要および流通は、引き続き拡大すると予想されます。

特に44素材の中でも、下記に関連する素材が好調に推移しました。

  • ・ストレス緩和
  • ・睡眠の改善
  • ・肥満改善
  • ・免疫機能改善

コロナ禍による新しい生活洋式への移行や、新型コロナウイルスそのものが変化の大きな要因といえます。

参考:株式会社矢野経済研究所|健康・機能性食品素材(44素材)市場に関する調査を実施(2022年)

将来の予測

国内の健康食品市場は今後も緩やかに成長し、一般食品市場では健康機能の付加価値を有する商品の開発・展開が継続すると考えられます。

そのため、国内の機能性食品素材市場における需要はさらに拡大するでしょう。

さらに中国や東南アジアなどでは今後、需要拡大や市場成長が予想されています。さらなる成長のため、営業体制の構築や拡充などの対策も検討してみてください。

また、女性の社会進出の背景から、フェムケア素材の需要が増加しています。健康や生活スタイルに悩む女性へのアプローチとして、「エクオール」や「大豆イソフラボン」、「ヘム鉄」などの販売量は今後もさらに高まるでしょう。

参考:株式会社矢野経済研究所|健康・機能性食品素材(44素材)市場に関する調査を実施(2022年)

まとめ:機能性食品素材は今後も成長しチャンスが高まると予想

機能性食品素材とは、トクホなどをはじめとした健康食品やサプリメントの要となる成分や素材です。素材の種類は非常に多岐にわたり、発揮される効果もさまざまであるためニーズに適した素材選びが重要です。

機能性食品素材の市場は、健康志向の高まりにより今後も拡大すると予想されます。

健康食品市場の成長は鈍化しているとされていますが、健康面での機能価値を付与した一般食品の開発は今後も進んでいくでしょう。

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