「機能性表示食品を取得する方法が知りたい」「機能性表示食品の届出のやり方がわからない」と悩む方は多いでしょう。機能性表示食品制度は2015年から開始されましたが、コロナ禍の影響で健康への意識が高まり、再度注目されています。
今回の記事では、機能性表示食品の基本と届出の方法について解説します。さらに申請時に押さえたいポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
この章では、機能性表示食品の基本事項について解説します。
機能性表示食品制度は、消費者が商品に表示された情報を元に、合理的な製品選択ができることを目的としています。
以前のシステムでは科学的な根拠があっても、国からの個別の許可がなければ機能性を表示できませんでした。そのため消費者がサプリメントなどを選ぶ際に正しい情報を得られず、適切な商品選択が難しいという問題がありました。
しかし本制度により、消費者が自分自身に合った適切な商品を購入できるようになりました。
機能性表示食品制度の特徴は、次のとおりです。
従来の制度では、食品に機能性を表示する許可を得られるまでに、何年もの時間がかかるうえ、費用も莫大でした。
しかし新たな制度では、時間や費用面でのハードルが下がり、中小企業が参入しやすいことが大きなポイントです。
参考:消費者庁|食品関連事業者の方へ「機能性表示食品」制度がはじまります!
この章では、機能性が表示できる食品の種類について、詳しく解説します。
機能性表示食品は、客観的な根拠に基づいて、機能性を表示した食品です。
安全性や機能性などの詳細情報が国に届け出されたもので、特定保健用食品(トクホ)のように個別審査がなされない点が大きな特徴です。
そのため、機能性表示食品は届出た「事業者」の責任において効果を表示する必要があります。
栄養機能食品はビタミンやミネラルなど、1日に必要であるが不足しやすい栄養素を補う目的で利用できる食品です。
すでに客観的なデータが示された栄養成分について、含有量が上限および下限値の範囲内であるなど基準を満たす場合には、届出なしで機能性を表示できます。ただし、パッケージに表示する表現方法は、国が定めたものを使用します。
特定保健用食品(トクホ)は、摂取することで食品が持つ特定の保健の用途(おなかの調子をととのえるなど)を表示できる食品です。
販売には国への届出のほか、食品ごとに個別審査が行われる点で機能性表示食品と異なります。
参考:
消費者庁|特定保健用食品について
消費者庁|特定保健用食品とは
消費者庁|栄養機能食品について
消費者庁|栄養機能食品に関するリーフレット
この章では、機能性表示食品を販売するまでの、大まかな流れについて解説します。
届出の前に、下記に示した6つの確認すべき項目をチェックします。
各確認事項の詳細については、次章で詳しく解説しているので参考にしてください。
下記に示す必要な資料を揃え、消費者庁長官に届出を行います。
また届出の際は販売予定日の60日前までに必要書類を提出してください。
書類に問題がなく、届出が受理されると、消費者庁から届出番号が交付されます。
届出番号が発行されると「機能性表示食品の届出情報検索」で検索可能になり、一般消費者向けに安全性や機能性などに関する詳細情報が公開されます。
なお、届出番号は「C115」のように、アルファベットと数字が組み合わされたものです。
パッケージに届出番号が表示された商品が販売されます。商品の販売後は、消費者の健康被害や関連情報を収集することが大切です。
被害の報告が認められた場合は、適切に対応できるよう常に体制を整備しておきます。
参考:消費者庁|食品関連事業者の方へ「機能性表示食品」制度がはじまります!
この章では、機能性表示食品の届出を行う前に確認すべき6点について、詳しく解説します。
機能性表示食品は生鮮食品も含めた食品全般を対象としていますが、下記に該当するものは対象外です。当てはまるものがないか確認してください。
対象となる食品にはガイドラインで定められた規定があるため、不安がある場合は確認することが大切です。
対象となる食品が安全であること、さらに機能性関与成分の相互作用の根拠を明確にする必要があります。下記の項目を参考にしてください。
【安全性を評価】
下記のいずれかの実施が必要です。
【相互作用の評価】
機能性関与成分の相互作用を評価した結果、相互作用か確認された場合には、販売が適切である理由を説明する必要があります。
衛生管理や品質管理の観点から、安全性の確保を担保できる体制を整備し、説明できる必要があります。下記の項目を参考にしてください。
さらに、衛生管理の手法である HACCPやGMP などを取り入れ、実施することが望ましいとされています。
消費者の健康被害の発生や、被害の未然防止、拡大防止のために、情報収集および報告ができる体制を整備する必要があります。下記を参考にしてください。
製品販売後も健康被害に関する報告がないか、情報を収集しなければなりません。
商品に表示する機能性を科学的根拠を基に説明できる必要があります。下記に挙げた手法のいずれかを実施してください。
上記の概要については、次章で解説します。
販売する製品の容器包装には、適正な表示が行われている必要があります。下記の項目を参考にしてください。
消費者が適切に商品を選べるよう、容器包装に適正な表示を行い情報を開示しなければなりません。
参考:
消費者庁|食品関連事業者の方へ「機能性表示食品」制度がはじまります!
消費者庁|機能性表示食品の届出等に関するガイドライン
機能性評価を行う2種類の方法
この章では機能性を評価する際に用いられる、2種類の手法について解説します。
臨床試験はヒトを対象として、ある成分や食品の摂取が健康状態などにどのような影響を与えるかを評価する介入研究です。
原則として、特定保健用食品(トクホ)の試験方法に準拠している必要があります。
※規格基準型、疾病リスク低減表示及び条件付き特定保健用食品(トクホ)にかかわる試験方法を除く
※原則的に臨床試験の参加者は、未成年者、妊産婦、授乳婦を除いた、疾病に罹患していない者から選定する。また当該商品の販売対象とする人と、年齢、性別、人種などの観点から、著しく異なる属性の人だけを対象としていないこと
設定したルールに基づいて文献検索を行い、総合的に評価する方法です。
下記に実施手順の概要を示します。
(*)最終製品、または製品に含まれる機能性関与成分について、臨床試験などの研究論文が登録されているものであり、査読付きの研究論文であること
(*)使用したデータベース、論文の採否条件など
研究レビューの基本的な考え方はガイドラインに記載されているので、確認してください。
参考:
消費者庁|食品関連事業者の方へ「機能性表示食品」制度がはじまります!
消費者庁|機能性表示食品の届出等に関するガイドライン
この章では、機能性表示食品の届出の際に注意すべきポイントについて解説します。消費者庁のガイドラインを元に、下記の3点をピックアップしました。
機能性表示食品の届出には、該当製品の安全性が十分に確保されていることが重要な条件です。
安全性の評価には既存情報を活用しますが、不十分である場合は、喫食による安全性評価のほか、安全性試験を実施する必要があります。
また、糖質や糖類の安全性評価の際は、製造方法についても考慮しなければなりません。
安全性の担保が低い製品の届出が受理されることはありませんので、商品開発の際に注力すべきポイントの1つといえます。
製品に表示する機能性の科学的根拠を明確に示すことが大切です。曖昧なデータでは届出書類に不備があるとして差し戻される可能性が高くなります。
実験条件や手法は適切か、システマティックレビューの場合網羅性の高い論文検索ができているかなどの確認が必要です。
届出の受理には、製品の機能性を客観的かつ明確に根拠を示せるかどうかが鍵であるといえます。
届出を行う際のポイントに、適正な表示で情報を提供することが挙げられます。
機能性表示食品制度は、消費者が適切に商品を選択できるようにする目的で設立されました。そのため、適切な情報提供がなされていないと判断されると、届出書類の当局の受理は難しくなります。
消費者が合理的に選択するための適正表示が重要です。
参考:
消費者庁|食品関連事業者の方へ「機能性表示食品」制度がはじまります!
消費者庁|機能性表示食品の届出等に関するガイドライン
機能性表示食品制度は、表示されている情報をもとに、消費者が合理的な商品選択を行えるようにすることを目的としています。
既存の特定保健用食品(トクホ)制度と比較すると、取得のためのコストが小さく、対象となる食品の幅が広いため、中小企業が参入しやすい点が特徴です。
しかし消費者庁に届出書類が受理されるためには、「安全性の確保」「機能性の根拠」「適正な表示」の3つのポイントを押さえた商品開発をめざす必要があります。
既存商品に機能性表示が許可されれば競合他社との差別化を図れるため、ぜひ挑戦してみてください。
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