アガリクス菌糸体FMは、アガリクス菌糸体を液体培養し、菌糸体を滅菌粉砕した素材です。アガリクスはβ-グルカンを産生し、そのβ-グルカンは抗腫瘍作用や免疫賦活作用が期待出来ます。
期待出来る機能 | 免疫賦活作用 |
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形状 | 粉末 |
溶解性 | 不溶性 |
規格項目 | β-グルカン25.0%以上 |
表示例 | ・アガリクスブラゼイ ・アガリクス菌糸体 |
納品形態 | 1㎏(製品名:アガリクス菌糸体FM(S) ) 10㎏ |
※このページに記載している情報は、健康食品等の業界関係者を対象にしており、製品の効果・効能を謳うものではございません。
1.アガリクス菌糸体FMの開発ストーリー
アガリクスはハラタケ属のキノコの一種であり、正式な和名はニセモリノカサ(英名:Agaricus subrufescens)ですが、長年学術文献などでも別種の菌として呼称(英名:Agaricus brazei Murill)されてきた経緯があり、今でもそちらの呼称が用いられています。当社では機能性キノコの研究を長年行っており、免疫細胞の活性化に役立つキノコとしてアガリクスに注目し、当時はその子実体(fruit body)の研究と利用が中心でしたが、1999年より菌糸体(mycelium)の培養に成功し、免疫細胞を活性化させる主成分であるアガリクスβ-グルカンの含量を子実体の3倍まで高める事に成功しました。その後各種安全性試験の実施をはじめ機能性のエビデンス取得に努めてきました。
ヒトの免疫システムは大きく2つに分類され、「自分以外」をすべて攻撃する自然免疫細胞と、狙ったターゲットのみ攻撃する獲得免疫細胞があります。自然免疫細胞の代表としては異物を貪食するマクロファージ(貪食細胞)や、がん化し異物とみなされるがん細胞とウイルス感染細胞などを攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞、その他顆粒球などがあります。一方獲得免疫はヒトを始めとする高等動物の免疫の主役であり、代表的な細胞としてリンパ球(T細胞、B細胞)があります。近年の研究でヒトの免疫細胞の6割は腸管に集まっている事が分かり、腸管の免疫細胞をいわゆる善玉菌や各種食品に含まれる機能性成分で効率的に活性化する事で、全身の免疫システムの健康な維持に繋がる事が注目されるようになりました。
分析項目(/100 g) | アガリクス子実体 | アガリクス菌糸体FM |
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タンパク質 | 37.2g | 24.3g |
脂質 | 2.4g | 4.6g |
灰分 | 6.0g | 3.4g |
糖質 | 27.2g | 4.8g |
エネルギー | 281kcal | 158kcal |
食物繊維 | 18.4g | 54.9g |
アガリクスは種菌から当社独自の培養技術により菌糸体を大量培養し、菌糸体のみ培地から分離精製して乾燥、殺菌粉砕し粉末化しています。アガリクス菌糸体FMは、アガリクス子実体に比べて糖質、エネルギーは少なく食物繊維は多い事が調べられています。またアガリクスの免疫賦活化成分として知られているβ-グルカンの量は、子実体に比べて3倍以上多い事が確認されました。
2. 詳細データ
【試験概要】
アガリクス抽出液添加による、マクロファージ細胞が起こす腫瘍細胞の障害活性を調べました。マクロファージ細胞株(RAW264.7)にアガリクスの子実体または菌糸体の抽出物を500 μg/mL添加し、その培養液上清をマウス由来がん化線維芽細胞であるL929腫瘍細胞に添加して腫瘍細胞への障害性を評価しました。
【試験結果】
アガリクス菌糸体および子実体のアルカリ抽出物の添加は、高い腫瘍細胞障害性を示しました。一方熱水抽出物では、菌糸体熱水抽出物にアルカリ抽出物の1/2程度の腫瘍細胞障害活性が認められましたが、子実体熱水抽出物では活性は認められませんでした。
【試験概要】
マクロファージ細胞によるリンパ球細胞の増殖亢進活性に対するアガリクス抽出物の効果を調べました。マクロファージ細胞株(RAW264.7)にアガリクスの子実体または菌糸体の抽出物を500 μg/mL添加し、その培養上清をC3H/HeJマウスから取り出した未成熟な胸腺リンパ球細胞の培地に添加しました。リンパ球細胞の増殖能は培地に添加した[methyl-3H]チミジンのリンパ球細胞への取込みで評価しました。
【試験結果】
アガリクス菌糸体の抽出物はいずれも子実体抽出物より、 [methyl-3H]チミジンの取り込みが多い事が確かめられました。これはアガリクス菌糸体の抽出物がマクロファージを活性化させリンパ球増殖因子を産生させる事で、リンパ球の増殖を誘導した事を示しています。
【試験概要】
アガリクス菌糸体FMのin vivoでの効果を調べるために、マウスに菌糸体及び子実体のアルカリ抽出物を4週間投与し、血清中のリンパ球増殖因子であるサイトカインIL-2の濃度をELISA法にて測定しました。
被験動物 | 5週齢雌性C3H/HeJマウス |
試験サンプル | アガリクスアルカリ抽出物 (100 mg/kg B.W) |
期間 | 28日間(3日おきに胃内投与) |
試験方法 | SPF環境下で飼育した5週齢の雌性マウスに、胃ゾンデにて生理食塩水に懸濁したアガリクスのアルカリ抽出物約2 mg/0.2 mLを3日に1回、28日間投与を行った。 |
【試験結果】
アガリクス菌糸体アルカリ抽出物の添加により、血清IL-2の高い産生誘導効果が確かめられました。
(3rd Int Conf of Mushroom Biology and Mushroom Products, 1999より引用)